愛犬の「ハチ」と出会ったのは私が小学校1年生の時です。
ペットショップで数匹の子犬と同じケージに入れられていたハチは一際目立っていました。周りの子犬はみな白色だったのにハチは黒色だったからです。ハチは背中から顔にかけて黒色、お腹や足が白色、目の上が一部白くて眉毛のような顔をもつチワックス(チワワとダックスのミックス犬)でした。私たち家族はその可愛さに一目惚れして飼うことを決めました。ハチをもらい受けた日の帰りの車で、毛布入りの段ボールの中で不安そう鳴く光景は今も記憶に残っています。
ハチを飼い始めてから数年、ご飯をあげたり、一緒に散歩に行ったり、おもちゃで遊んだり、本当に楽しい時間を過ごしました。ご飯は数十秒で平らげるし、散歩に行っては全力疾走、おもちゃはボロボロに噛みちぎるくらい元気なハチとはペットというより兄弟のような関係でした。
私が中学校に上がったころからハチと遊ぶことはかなり減ってしまいました。勉強や部活動が忙しく、単純に時間が取れなかったためです。それでも少ない時間の中でたまには散歩に行ったり、一緒に寝たり、ハチと過ごす時間はとても充実していました。
しかし、高校2年生のころ、ハチに少しずつ異変が起こりはじめました。最初はちょっとご飯を食べるスピードが遅いかな程度の違和感でした。だんだんと違和感が確信に変わっていき、ついにはご飯を残す日も増えてきました。もう11歳だったハチは人間でいうと60歳ほどです。寿命で亡くなる日もそう遠くないのかなとなんとなく感じました。
翌年、ハチを含めて家族みんなで旅行に行きました。もう来年はないかもなと家族全員が薄々感じていた気がします。ハチと一緒に行った泊まりの旅行は初めてで、これが最後の旅行になりました。
ハチが亡くなった日、私は大学受験の模試を受けていました。晩御飯なんだろなと考えながら帰宅すると、ハチはすでに亡くなっていました。私が帰宅するほんの10分前のことでした。いつか亡くなると分かっていたものの、あまりに急で頭が真っ白になりました。悲しくて、何より最後に会えなかったのが悔しくて1日で1年分くらい泣きました。
ハチとの思い出は一生の宝物です。子供時代を共に過ごし、私にたくさんのものを与えてくれたハチに「ありがとう。」と伝えたいです。